チーム名は、こうである。
『U.Lモッチョムノスタルジー』
ツアー名といってもいいだろう。
ウルトラライトな荷物を持って旅に出る。目指すはモッチョム岳の山頂。屋久島の海にもぐり郷愁にひたる。
モッチョム太郎を後にしたわれわれは、「もうちょっとで頂上」という情報を、かなりの前向きさで受け止めていた。
つまり全員が、超絶に安心していた。油断もしていた。でもこれはしょうがない。キツいガチ登山が続き、ロープを掴んでよじ登ったりしてヘロヘロになっている。
「モッチョム太郎から頂上は、もうすぐ」という情報は、完全に信じる！
ぜんぜんもうちょっとじゃない！
◆◆◆◆◆◆
やった！頂上だ！と思ったところは、頂上モドキだった。
頂上じゃなかった…。
なんと…そうか、頂上ちゃうんや。
ん？
ん？ん？ん？
頂上モドキから、先が見える。なにあれ？ひょっとして、あれが頂上？
まだまだやん‼︎
さらに上やん‼︎
てか、怖いねんけど‼︎
でっかい岩やん！
そういえば、昨日の豚しゃぶ屋さん『波の華』のお父さんは、モッチョム岳は岩山だと、おっしゃっていた。
と、ここで、万代杉で出会った女性と再度すれ違った。
「岩、すごいですよ。あれは怖くて行けない人もいると思います」
「…！」
え？そんなに？と、ボクは思った。
そうか、この女性は登ったのだ、その恐怖の頂上に。
行くしかない！
◆◆◆◆◆◆
なんやかんやで、でっかい岩まで来た！ロープから手を離したり、足を滑らしたりしたら大変なことになるぞ。
これ、いったい何度？
んで、切り立っているから、下手したら何百メートル下まで落ちちゃうのかもしれない。
かなりビビりながら登った。
きた。きたよ。
頂上。
今、立っているところが高くて、足がすくむ、
お腹の奥の方が、ぎぃぎぃって、痛くなってくる。
でも、そこから見える景色は、絶景だった☆
モッチョム岳の頂上からは、屋久島の海が見えた。
最高の眺めだった。この海を見るために、ここまでやってきた。
マジで、最高だった☆
天候にも恵まれた。
モッチョム岳を登っているユーチューバーは、頂上でこんなに晴れていないし、こんなにはっきりと海が見えていない。
なんだ、やっぱり晴れ人間か？あ？
しばらくしたら、女性がひとりで上がってきた。強いな。すごいな。昨日、なんとかっていう山に登ったそうだけれど、モッチョム岳のほうが、数倍最高！と。
ここから見ると海は穏やかに見える。
昨日、あんなにマッチョだった海が、ここからだとおとなしい。
次は、60歳代くらいのご夫婦が上がってきた。しかも、楽しそうに登ってきた。
なんだ？みなさん元気すぎやしないか？
キツいな〜とは言っているけれど、そんなにキツくはなさそうだぞ。
なんか、われわれだけやないか、こんなにバテてるの。
今までキツかったのが、この風景によって報われた。
登った感が、すごい。
来てよかった。
と、ボクはその時思った。
ほかのお二人には聞いてない。どうやったんやろう。
◆◆◆◆◆◆
来てよかった、とボクは思った。
山を降りている時、この話になった。ボクは来てよかった、と。
お客さまたちは、
「今回は来てよかった。でも、次回はもういいかな」
「モッチョム岳はススメないかな」
「人には簡単にススメられない」
「白谷雲水峡はススメる」
「モッチョムに登ったという経験が良い」
「来てよかった、次はない」
と、いうことでした。
参考になればいいかな、と思います。
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