ラジェスは今、40歳を超えているだろう。
ラジェスはインド人。
インドのカジュラーホーという街にいた。
ラジェスはネパールの大学に通っていて、5カ国後くらい話せると言っていた。
ボクと軽い日本語でも話していた。
ボクが19歳の時の、インド一人旅の時の話。
カジュラーホーの街についたボクを、ラジェスはあやしいツアーコンダクターのようにつきまとい、ラクダにも乗せてくれた。
ボクと同世代だ。
あやしいと思いつつ、その日はあやしくなかった。
明日、自分の家に遊びに来い、と言う。
翌日、ラジェスの家に行った。
騙されているのかもしれない、と思いながら。
金だけは離さない、と思いながら。
どうやら、当時のインドの平均的な家庭だった。
ようするに、たぶん貧乏だった。
が、
カレーを御馳走してくれた。
観光的カレーではなく、家庭のカレーだ。
日本の若造に、おいしく食せるようなカレーではなかった。ホンモノのインドのカレーだった。
コメが、めっぽうマズかった。
でも、ラジェスはいいヤツだった。
カレーを残すわけにはいかない。
でも、ボクは残してしまった。
それが、ボクの人生で唯一、食べきれなかったカレーである。
ラジェスの家にはおじーちゃんが、いた。
当然、インドのおじーちゃんである。
動きがとてもスローだったのを覚えている。
おじーちゃんは、世界中、みんな同じだ。
おじーちゃんを見た時に、ラジェスは本当にいいヤツだ、と思った。
騙されてなんか、いない、と思った。
実際、ラジェスは、本当にいいヤツだった。
騙すどころか、金のないボクに、少しのインドルピーを貸してくれたのだ。
貧乏なのに(予想)。
だから今でもカレーを残したことが、引っかかっている。
かなりの心残りである。
あの時、どうして腹一杯食べれなかったんだろう。
とにかく、ラジェスは、ボクと同世代なので、現在は40代なのである。
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