カエルアンコウが、じっとしている。
いつものことなのだが、じっとしている。
いや、いつもよりも、さらにじっとしているのがわかる。
海はとても荒れていて、水面ではアパートほどの高い波がたっている。
そして水中の流れはハンパなく、そこいらのサカナも流されてばかりで、まったく泳げていない。
まわりがそんな感じだから、いつもよりもじっとしているように見えるのだ。
なぜそんなにじっとしているのか、と聞いてみると、
カエルアンコウは、それには答えず少しこちらを見ただけだ。
こちらをちらりと見た時に、流れが強いので、顔の表面がプルプルしていたのが印象的。ちょっとオモシロイ。
ああ、そうか、わかった。
カエルアンコウは、じっとしているんじゃなくて、じっとせざるを得ないんだ、ちょっとでも気を抜くと、流されてしまうからだ。
「それならそうと、言ってくれよ!ムシされたかと思ったじゃないか。」
と、私は少し乱暴に言ってしまった。
するとちょっと気になったのか、カエルアンコウが何かを言おうとした。
そしてカラダをこちらに向けた時に、水の流れる方向にすごいスピードで流されてしまった。
一瞬にして、見えなくなってしまった。
カエルアンコウが流されてしまったのは、私のせいではない。
ついでに、あの時、カエルアンコウが何を言おうとしたのか、今、とっても気になるのである。
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