米を必要としているのは

知ってるか、米不足。

スーパーマーケットでは、お米がないのである。値札には“おひとり様ひとつまで”と書かれている。

お米の置いてあるはずの棚には何も置いてない。ひょっとしたら、買い占めている人がいるのかもしれない。

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これは、数年前にも同じことを書いたのだけれど、こんな太宰治の小説がある。

戦時中の困窮した時代の話で、おにぎりの配給にわれ先にと群がる人々にはなりたくない、おにぎり争奪戦には加わるくらいなら餓死する、と思ってる男の話。

男のプライドらしい。

ボクもそう思っている。おにぎり争奪戦には、加わらないぞ、と。さすがに餓死はイヤやけど。
でもボク場合はプライドではなく、群がるのがイヤなのである(あ、それってプライドか)。

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ボクには守るべき家族などがいないので、スーパーマーケットで群がる群衆のひとりにはなるまい、が、通用する。

あぁそうやな、こういうとき、必要な人にお米がいきわたればいいのだ、ボクなんて、パンやらスパゲッティやらうどんやら、さとうのごはんを食べていればいいのだ。
とか言いつつ、家には送られてきたお米がある。ありがたいことに。

そして。

「おにぎり争奪戦には加わらない」
じゃなかった。

本当は
「にぎりめし争奪戦参加の権利は放棄するつもりだからね」
だった。(『たずねびと』:太宰治)

なるほど、ぜんぜん違った。

自分の記憶力なんて信じちゃいけないな。

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守るべき家族などがいるお父さん、お母さんには、子どもに食べさせるべき米が必要なのだ。

「おにぎり争奪戦には加わらない」とは、しょうもないプライドの話ではなく、食べてもらいたい人にむけて、あえて退くことなんだな、と思いなおす。

人はいつの時代も、買い占めたくなるのだな〜。

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